ここ何日か、ボクはレッドさんの姿を見かけていなかった。
レッドさんがいなくなることはよくある。フラリと出かけては、フラリと帰ってくる。行ってくるも帰ってくるも何も連絡がなく、いつも突然の出来事なのだ。
そのくせ、帰ってきたときは怪我だらけであったりするからたまったもんじゃない。レッドさんがいなくなる度に、ボクは寿命が縮むような思いをしているのだけれど、わかっているのだろうか。
もちろん今回も例外でなく、ボクの中には、また無茶をしているんじゃないだろうか、という心配ばかりが湧き上がっていた。
心配だから連絡ぐらいはして下さい、と何度も言っているのに。「悪い悪い」と笑いながら謝るだけで、実行してくれたことは一度もない。
本当に、連絡だけはして欲しい。声ぐらい聞かせて欲しい。それだけでも安心するのに。

そして、いい加減レッドさんがいなくなる度に寂しい思いをしてるということに、気がついて欲しい。
どこにも行かないで、なんて言えないけれど、ボクが待っているということも忘れないで欲しい。

「レッドさんの馬鹿」

ぽつり、と呟いた言葉が宙を舞う。
心配そうに見上げてくるチュチュに、大丈夫だよ、と笑顔を見せ撫でてやると、足に擦り寄ってきた。それがとても嬉しくて、ありがとう、という気持ちも込めながら撫でてやると、にっこりと笑ってくれた。
チュチュも同じだけ寂しいはずなのに、ボクばかりが慰められている。

しっかりしなくちゃ、と気持ちを入れ替えるつもりで頬を二度叩く。へこんで、寂しがってばかりではいけない。

「レッドさんなんてもう知らない!」

いまは忘れよう。
ううん、忘れるんじゃない、レッドさんを信じて待っておこう。
ボクにはそれぐらいしかできない。心配ばかりしていても駄目だ。寂しがっているだけでも駄目だ。
ボクがチュチュを不安にさせてしまうのはもっと駄目だ。

「帰ってきたらいっぱい文句言おうね!」

ぽん、とチュチュを撫でると、同意したかのようににっこりと笑った。



( ピカ…入りづらいな、 )( ピカー… )



千紘さまのサイトにてでキリバン踏みまして書いて貰った「レイエ」です!
このあといっぱい甘やかして貰えばいいと思います^^
千紘さま、ありがとうございました!
(110318)