二月某日。

「ハッピーバレンタインっ!」

その台詞と共に差し出された二つのチョコレート。
しかし。

「なぁブルー」
「何よ?」
「…差があからさま過ぎなんだけど」

グリーンに差し出されたのは綺麗にラッピングされた箱。
それに対してレッドに差し出されたのは見た所何の手も加えられてない一枚の板チョコ。

「流石にこれは無いだろ!」
「あんたのはグリーンのおまけだし」
「Σ酷ぇ!」

わいわいと言い争う二人を尻目に、グリーンはきっちり結ばれたリボンを解く。箱を開いた瞬間微かに甘い匂いが鼻を擽った。

(…珍しく普通だな)

茶色の粉末がかかった歪つな球体を一つ口に含む。しかし作り手が作り手である。

「いっつもグリーンばっか贔屓…」

若干涙目になりながらレッドがグリーンの方を振り返ると、先程まで呆れたようにこちらを見ていた緑色は瞼の奥に隠されていた。

「え、いや何で何で!?」
「あら?」

ちょっと配合間違えたかしら、と呟くブルーにレッドは背筋に悪寒が走るのを感じた。何を入れたのとは恐ろしくて聞けない。
手の加えようがない板チョコで良かった、と思ったのは秘密である。


恋愛実験室


「…まさか自分のは安全だと思ってる?」
「え"っ!?」


しーさんより4000hitお祝いにマサラ組を頂きました
愛の差があからさまが姐さんが大好きです^^
しーさんありがとうございました!

(110309)