陽介が夏目の家へ遊びに行ったのは、予定していたテレビの中の探索が急に中止になったからだ。
りせが突如外せない用事ができてしまったらしい。申し訳なさそうに謝るりせに笑いかけて、リーダーが今日はお休みにしようかと提案する。
ここのところ連日テレビの中へ行っていて疲労の色も見えていたメンバーはすぐに賛成し、今日は終日休息日となった。
千枝と雪子はショッピングに行くと張り切っていたし、完二は久々に尚紀を誘ってどこかぶらつこうかと言っていた。直斗は一度実家へ顔を出しに帰るらしい。
クマは人手が足りないと迫られホームランバー5本で急きょアルバイトをすることになったようだ。人気者は大変クマねえ、と両手にアイスを抱え辺りに花を咲かせながらジュネスへ消えていった。

そうして陽介はひとりで夏目の家へ来ていたのだが、そろそろお暇の時間がやってきたようである。

「うわ、もう7時前か。あんま長居すんのもアレだし、もう帰るわ」

ふと時計を見上げ、それまで楽しげにおしゃべりをしていた陽介が驚きの声をあげる。
夏目の部屋へ通されてからずっと話しっ放しだった。
もちろん夏目も話したし会話にはなっていたが、ずっと喋っているだけで時間を忘れるなんて自分は女子かとも言いたくなる。

「そういや今日菜々子ちゃん遅いな」

もうすぐ夕飯時だというのに結局姿を見せなかった少女を心配すれば、夏目が、ああ、言ってなかったっけと首を傾げた。

「菜々子は今日クラスメイトの子の家にお泊まりに行ってる」
「え、」

陽介がきょとりとまばたきをする。
それからフイと視線をそらしもうひとつ問うた。

「あーっと…堂島さんは?」
「今日は飲み会。12時すぎにならないと帰ってこないって」
「……」

すとん、と陽介が浮かせていた腰を再びソファに下ろす。
陽介を玄関まで見送ろうと先に立ち上がっていた夏目は不思議そうに声をかけた。

「陽介?」
「……って、言ったらどうする?」
「え?」

小さく呟かれた言葉がわからず聞き返せば、おずおずといった風に上目で見上げられる。

「帰りたくねえ…って言ったら、どうする?」
「…深読みするよ?」

ギシ、と陽介の上にのしかかれば、目元を染めて顔をそむけた。
しかしそこに抵抗の色は一切なく、夏目はあごをすくい陽介の唇に噛み付くようにキスをする。

「ん…っ」

舌でくすぐり催促すれば、陽介がそっと唇を開いた。
その間に滑り込むように進入し、恥ずかしげに引っ込む陽介の舌を捕まえ引っ張り出す。

「ん、んッ…ふぅ…」

舌をしゃぶり、吸い上げる。
歯列をなぞり口内を荒らす夏目の舌に、短い喘ぎが漏れた。

「ふぁ、あ…ッ」

ようやく離れた夏目に、陽介は浅い呼吸をくり返し酸素を取り込もうと必死になる。
その耳元に唇を寄せて、最終確認を行えば。

「…いいの?」

耳へかかる吐息にふるりと身体を震わせて、聞くなよと抱きついた。


これにて。
(暗転。長い間陽介と過ごした…)


歌伊さんリクエストの「主花」でした!
15禁とのことでしたので少し匂わせてみましたが、えろ難しい…!
暗転からの長い間〜は本家をなぞったつもりです(笑)

歌伊さん、リクエストありがとうございました!

(111115)