テレビでは、マスター仲間の夏輝が役者の顔をしていた。
今月から始まるドラマに出るんだぜ!と得意げな顔をしてアカイトが話すので、カイトは気になっていたようである。

「すごいですねえ…」

CMに入ると肩の力を抜き、ほう…とため息を吐いたカイトは春馬に微笑む。
春馬も笑みを返しカイトにもたれかかると、わっと驚いたような声をあげた。

「どうしました?」
「んー?なにも」

くすくすと笑うカイトの声が心地よくて自然に頬が緩む。

「カイト」

呼んでゆっくりとキスをすればカイトも照れて笑った。
何度も啄ばむようなキスを繰り返して戯れる。

もう少しいけるかな、とじわじわ押し倒し始めたところでカイトからストップがかかった。

「ま、マスター、だめです…っ」
「なにが?」
「えっちなことしようとしてるでしょう」

上目使いするように睨まれて、耳元で「えっちなことって?」と聞き返す。
途端に顔を赤らめたカイトを可愛く思い鼻の頭に唇を落とした。
反射的に目を瞑ったカイトに笑いかける。

「期待した?」
「なっ…ま、マスター…!」
「カイト、かわいい」

なにか言おうとしたカイトの口を己のそれで塞ぐと、真一文字に結ばれた口を舌でノックした。
なかなか開かれないドアに痺れを切らして無理矢理進入すると、カイトが抗議の声をあげる。

「だ、だめですって…っ」
「なんで」

なにをそんなに嫌がるのか。
大人しくカイトの言葉を待てば、もごもごとテレビが恥ずかしいのだと言った。
テレビでは、いつの間にかCMが明けてドラマが始まっている。

「な、夏輝さんが映ってて…」
「見られてるみたい?」

こくん、と頬を染めながら頷く。

(ああ可愛い)

リモコンでテレビのスイッチを切ったのと春馬がカイトに馬乗りになったのは、ほぼ同時だった。


switch!
(テレビから君へと、興味をswitch)


春馬だから馬乗り(笑)とかそんなこと思ってません
(100622)