「抱き着くのがだめなら、可愛いって思うたびちゅーしてEー?」
「?!」
驚いて顔を上げた日吉がぱちりと瞬きをする。身体を離して、ちゅっと頬に唇を寄せると日吉のそこが熟れた。ほっぺに手を当て、な、な、な…! と慌てる日吉にまたもやきゅーんとし、次はその手に口づける。
「…!!」
「ひよし…かわいい…」
ちゅ、ちゅ、とキスをしていくと、次第に日吉の目がうろうろと泳ぎ出し。忙しなく動く目線は決して慈郎を捉らえようとしない。
「あ、あの…」
「んー?」
唇の端にキスしながら慈郎はとぼけ笑った。唇はわざと外していた。日吉は焦れてくれたのだろうか。
「…き、すされると、その、抱きしめてほしくなるからだめです…」
顔をそむけて、視線は下で。
改正案が本末転倒だと告げる日吉は至極真面目だったのかもしれないが。
「……」
「あの、慈郎さん…?」
「…はー、もう…だめ…ひよしずるい…」
「な、何がですか!」
ずるいと言われる言われはないとムッとする日吉のあごをすくいあげる。焦らしたつもりで焦らされていたのは自分だったようで、余裕のないキスだった。
掻き抱いた日吉が、そろそろと腕を慈郎の背に回す。それも嬉しくて愛おしくて、慈郎はもう一度唇を塞いだ。
(130401)