「ちょ、ま、ふふふ藤代ストップ!」
「やだ。もう待てない」
「やだじゃねえよ!」

じわじわと座ったまま後ずさりをする真田を同じくじわじわと前進し追い詰めていく藤代。
こつん、と背中が壁に当たり、真田の顔は一気に青ざめた。

「俺だいぶ待ったよ?」
「いやでも、」
「付き合って何ヶ月だっけ。そろそろ次にいってもよくない?」
「よ、よくない」

次に、というのはもちろんキスなんかではなくて。
真田もそんなことはよくわかっている。

「だ、だって俺初めてだし…」
「そんなの俺だって初めてだし!」
「じゃあなんでそんな余裕なんだよ!」
「真田が好きだから」

うぐ、と言葉に詰まった。いつもなら嬉しい言葉だが、今は全然喜べない。
だいたい、と真田が言葉を振り絞る。

「だ、だいたい、なんで俺が下なんだよ!」
「えっ、真田上がいいの?」
「いやそれは…ねえけど…たぶんうまくできねえし…」

じゃあいいじゃん。
ふりだしに戻った。

「ね、真田」
「…んぅ、」

強引に唇を重ねる。突然のことに反応できていないことをいいことに唇を下で割り入った。

「ん、…ふぅ…っ、ぁ…」

ぎゅ、と首に腕を回されて、その腕にかなり力が入っていることに気づいて藤代は唇を離す。
顔をあげることなく藤代の胸に頭を押し付けた真田は、小さく震えていた。

「…真田、ごめんね?」
「…やだ…」
「うん、もう終わり。もうなんもしないから」
「だって、こええもん…」
「そうだよね、ごめんね」

背中をさすりながら、真田をそっと抱きしめる。
ようやく安心したように、真田は小さく呟いた。


未成年の主張
(ちゅ、中学卒業するまで待って)
(長い…!)


title→joy
(101227)