自宅からジムへ向かう途中でとうとう泣き出した空に思わず舌打ちする。
姉に傘を持っていったらと薦められ、すぐそこだからと断った数分前の自分が恨めしい。
泥を跳ねさせ駆ければ、同じように雨に濡れる存在を見つけグリーンは声をかけた。

「ブルー」
「あら、グリーン」

奇遇ね、なんて世間話をする暇もなく、彼女の手を引きジムへ走り出す。
ジムへ着くや否や、髪から水を滴らせる彼女を浴室へ押し込めた。風邪を引いてはいけない。

「服は乾燥機に…」

言いかけて、以前彼女に似合うのではと購入した洋服を思い出した。
あれから渡すタイミングをすっかり逃していたそれは、まだジムに置きっ放しなはずだ。

「いや、いい」

いいから入れと彼女の背中を押した。



洋服は、グリーンが仕舞ったところよりも奥にあった気がする。
それでも色褪せも汚れもなかったことにホッとした。
ほどなくしてブルーが風呂から上がり、ようやく彼女の手に渡ったワンピースはグリーンが思った通り彼女によく似合っている。

「ねえ、この服」

戸惑い気味のブルーに、グリーンは彼女の手からタオルを奪い頭にかぶせた。
そのままごしごしと拭いてやる。

「風邪引くだろ」
「……うん」

うつむいてされるがままのブルーはそのまま黙った。

「…その服を見つけたとき」

沈黙を破ったのはグリーンだ。

「お前が思い浮かんだ。似合うかと思って」

ガバリと急に上げられた顔に、グリーンが思わずたじろいでしまう。
ブルーがぱちぱちと目を瞬かせた。

「…あたしに?」
「そのつもりで買ったが」

何を今さら、と思うグリーンとは対照的に、ブルーはひどく驚いた様子だ。
そのまま再び視線を下に向け、まじまじとワンピースを見つめる。

「あ、ありがと…」
「ああ」
「でも、次は買ったらすぐにプレゼントしてちょうだい」

勘ぐっちゃうから、と顔を上げグリーンを見上げたブルーは、安心したように笑っていた。


ワンピース差し上げます
(悩んだのが馬鹿みたい)


しーさんリクエストの「グリブル」でした!
まずは、長くなってしまいすみません…!
しばらく書かなかったらただでさえ持っていなかった短くまとめるスキルが完全消失しました
お風呂でぼんやりとネタを思いついたとき風呂バシャするレベルで楽しかったです←

しーさん、リクエストありがとうございました!

(111206)


追記。
ブルーは誰か宛てのプレゼントと勘違いして奥へ仕舞いこんでしまったというお話でした
読み直してわかりにくく感じたのでひとこと添えておこうかと(汗)